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変容する企業の雇用責任

  • 執筆者の写真: 林明文
    林明文
  • 1月5日
  • 読了時間: 4分
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流動化する労働市場

 企業を取り巻く環境がきわめて早く変化するようになってきました。技術の進化、新たなサービスの開発により、新しいビジネスが誕生し急速に伸び、革新的なサービスが市場に投下され、今までの競争優位を保てなくなることもあります。自社の経営計画を見ても同じビジネスモデルを変えずに継続する企業は少なく、現在のビジネスのさらなる強化、新しい分野への進出、新しい地域への進出などで成長を獲得しようとしています。

マクロ的に見れば、雇用の需給バランスが変化し、建設業や介護医療などは慢性的な人手不足、またこれから伸びる半導体などの分野も求人意欲は極めて旺盛です。このようにこれだけ大きなビジネス構造の変化の中で労働市場は以前にも増して急速に発達をしています。

 さらに働く側も40歳ぐらいまでは転職を普通のことであると捉えており、常に自分の労働市場での価値を考え、実際に転職することを視野に入れている人の割合が多くなりました。労働市場の流動化はビジネスの変化とともに、働く側のキャリアに対する意識の変化により発達をし続けていると言えます。


終身雇用ヘの意識

 今までの日本では終身雇用年功序列の企業が圧倒的に多くありました。現在は実力主義型の人事制度に変わるべきだという声が強くあります。しかしそれを実際に実践している企業は比率としては極めて少ない状況です。したがって働く側は大学を卒業し、目的的でない就職活動によりたまたまある会社に就職します。当然自らが描いていた仕事のあり方や働き方と異なるため、若年段階で離職する社員が極めて多い状況です。また30歳ぐらいから自分の専門性、労働市場価値から今の会社よりも条件的に良い会社に転職するという風潮も見られます。

しかしこれが40歳以降になると話が大きく変わります。どの企業も40歳以降の離職率は低い状態です。当然ライフプランを考えると現在いる企業に長く勤める傾向になり、終身雇用であることにある種の安心感を見出します。さらに年功序列であれば中高年になればなるほど退職しなければお得なキャリアを歩めることになります。若年層は終身雇用などについて、自分のキャリアを考える上で重要視はしていません。しかし中高年になると逆にこれが自分の当然の与えられた権利と主張します。現在は年代によって終身雇用への意識が大きく違うという時代ではないでしょうか。


新しい企業の雇用責任

 日本企業は再び成長し輝きを増すためには、人事制度は実力主義にせざるを得ないでしょう。実力あるものは評価され、給与が上がり昇格する。実力がないものは当然評価されず給与が下がり降格をする。至極当たり前の話です。このような制度の企業では実力なきものはその企業の中において自己のキャリアに誇りは持てまません。企業側もストレートに言えば戦力外の社員という認識でしょう。今までは働かない中高年を多く溜め込み、そのため人件費は膨張し、活気がなく若手が辞めていきました。その企業で実力のないものは何百万社ある中のたった一つの企業で実力が無かっただけであり、他の企業で再びキャリアの誇りを持ちなおし、処遇も上がっていくチャンスを見出せるはずです。終身雇用を意識して会社を辞めさせることにとてつもなく大きなハードルと考える経営者、社員は圧倒的に多いです。しかし実力主義への転換、労働市場の活況も含め、今後の企業の雇用責任というのは、自社の方向性と自分の方向性が同じで、かつ通常か優秀な社員は終身雇用として雇用し続け、実力のない社員は新たに活躍できる場所へ移動してもらうことです。そして退職をさせたい社員に対しては、合理的な退職条件でかつ再就職の支援もして大事に外に出してあげることが企業の責任です。また別の言い方をすると活躍のできない社員を抱えているよりも、世の中は人手不足ですので、人材を必要な企業に供給してあげるというむしろ社会的な貢献をしていると思わなければなりません。

 今の経営者がこのような雇用に対するスタンスを取れるか否かは疑問ですが、このハードルに胸を張って軽々と超える経営者がたくさん出てこなければなりません。終身雇用の捉え方が大きく変わったということです。適正に退職させるということはむしろ社会貢献であると捉えるべきでしょう。


*YouTube番組DigDeep人事「長期雇用はなくなる?」を参考に執筆

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