放っておけない地域格差
- 林明文

- 2月20日
- 読了時間: 3分
速いスピードで拡大する地域差
人口が地方から大都市へ集中するようになってから大都市部と地方との物価差、特に住宅費の差が大きくなってきました。またそのスピードがさらに増しており、特に東京では地価が非常に高くなっています。
この拡大する地域差に理論的に対応している企業はほとんどありません。多少の都市手当や多少の住宅手当を支給する程度であり十分な地域差を反映したものではありません。例えば東京で一家3人が生活するためには2LDK、65m²位の住宅が必要になります。マンション価格は平均15万程度と言われています。それに対して地方、例えば物価が安いと言われている宮崎県では同じ条件で。5万円位で借りることができます。また住宅費以外の物価も大都市の方が数%高い傾向にあります。この金額やパーセンテージに関しては毎年変わりますが、今後の予測される傾向も大都市集中と考えられます。
名目賃金平等と実質購買力平等
このような状況に対応するために企業はどのような考えで社員の給与の平等を考えればよいでしょうか。今までの日本の企業は名目賃金平等という考え方で、どこの地域にいても部長の給料は同じであるという考え方です。これは転勤が極めて多い会社などでは合理性があるかもしれません。いろいろなところに赴任するので高いときもあれば安いときもある。皆がそうであるからあえて給与は変更しない考えです。しかし今の日本の企業はそこまで考えないで名目賃金平等にしている方が多いのではないでしょうか。しかしながら昨今では、さすがにこれを看過することができないため、都市手当や住宅手当を支給する企業も多くなりました。名目賃金平等をベースとしながら、一部実質購買力平等を取り入れるという考え方でしょう。
実質購買力平等はどの地域に行っても同じものが買えるという考え方です。したがって宮崎で部長の月給が50万であれば住宅差額だけを考えれば東京では60万円が適正だということです。更にこれに住宅費以外の物価差を数パーセント東京に加算することになります。理論的には極めて妥当な考え方です。これに対しての問題は宮崎から東京へ赴任する場合には50万から60万円に月給が上がったように見えます。その逆に東京から宮崎へ赴任した場合には10万円減給されたように見えます。社員がこの仕組みをよく理解しないとうまく機能しません。どうもこのような考え方に対しては単視眼的な対応する企業が圧倒的に多い状況です。
時代は実質購買力平等
現在ではこの2つの考え方を正面から議論されていない企業が多いのではないでしょうか。労働組合もこのような観点で議論していません。しかし大半の企業では実は実質購買力平等を特定の部分だけ意識しています。それは海外赴任者に対してです。海外赴任をする社員に対しては現地の物価状況など現在の暮らしぶりを維持できるだけの月給を与えなければなりません。詳細に物価レベルを調査してどの企業でも購買力平等を意識してやっています。
今後はさらに住宅費とその他の費用の大都市と地方の差が大きくなることが予測されます。今のままの名目賃金平等ベースプラス小さな実質購買力平等とするのか、一気に購買力平等にするのか。まず経営陣と人事で議論しなければならないことは不可避です。一度このような観点で給与について議論をしていただきたいと思います。
*YouTube番組DigDeep人事「拡大する地域差」を参考に執筆




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