女性活用推進の視点
- 林明文

- 29 分前
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近年女性活躍推進について熱心に議論がされ、様々な取り組みがされています。具体的には職場での
男女の平等な扱いの徹底とともに女性管理職比率、男女の育休取得率や育休取得期間が注目をされています。
そもそも女性がさまざまなライフイベントがある中、企業で活躍するためには現在の指標とともに、新たな指標も必要です。例えば女性管理職比率は30%程度の目標が掲げられていますが、これは多様性の指標であり女性活躍推進の指標ではありません。勘違いをされている指標です。もし女性活躍推進の指標としたいのであれば、性別管理職比率が正しい指標でしょう。性別管理職比率というのは総合職男性内管理職比率、総合職女性内管理職比率のことです。男性の総合職の中で管理職が何パーセントいるか、逆に女性の総合職の中に管理職が何パーセントいるか。このパーセンテージが同じであれば男女が平等に評価処遇をされているということになります。
このように女性管理職比率をあげようという考え方は、男女平等処遇という観点からは理論的には間違えているということです。
女性活躍推進の最も重要な論点は、将来のキャリアにあります。話しをコンパクトにするために既婚者だけの議論にいたします。夫婦はそれぞれ共働きで働いているとしてそれぞれの将来のキャリアプランを考えなければ女性活躍の話は正確にできません。例えば妻がキャリア志向で将来経営幹部を目指すことを目標とし、逆に夫は仕事と自分の趣味を両立させたいと考えているとしましょう。重要であるのは家事負担と育児負担です。上記のような状況では女性が家計の主体を担っており男性はそれを補完する形になっています。女性のキャリアが途絶えないようにするのがこの夫婦にとって望ましい姿であり、家事は当然夫の方が多く負担し、育休はフルにとるべきです。逆に妻は家事負担をなるべく少なくし、育休は取らず仕事に専念するのが望ましいでしょう。
このように夫婦のそれぞれのキャリアによって家事負担や育児負担が決定をされるのであり、会社が勝手な目標を決めて男性の育児休業率を上げるということが本質ではないということです。原点であるのは夫婦それぞれのキャリアでありそれを実現するためには夫婦の中での合意形成が必須ということになります。それをサポートする形で企業の様々な制度が整備されなければなりません。特に現在足りないのは夫婦のキャリアによって家事負担、育児負担を夫婦間の合意形成を企業が促し推奨することです。
このような考え方で社員が自ら家事育児負担を考え決定した結果として、さまざまなKPIの数字が決まります。最初から目標値があるのではなく原点にこだわり、結果として数字が出てくるというのが合理的な考え方ではないでしょうか。確かに男性の育休取得率が低い、育休取得期間が短いということは次第に是正されていくことになるでしょう。しかし個別の企業で見た場合は男女比や職種構成などが違うため、世の中一律の目標設定は意味を持ちません。まずこの考え方を経営陣がよく理解をすることが第一歩です。現在の経営陣の多くは、あまり育児や家事をやってこなかった世代でしょう。過去育児休業は取ったことがなく、また現在でも家事負担0の経営陣が、男性は育休を取るべきだと言っても説得力はないでしょう。とにかく夫婦それぞれのキャリアを支援することが女性活躍推進の原点であるということを再認識しなければなりません。
*YouTube番組Dig Deep人事「女性活用は必要か」を参考に執筆


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