初任給?

初任給の高騰
2025年、初任給が高騰し始めた。今までは20万から25万ぐらいの初任給が、一気に30万を超える初任給にする企業が続出している。初任給自体が上がることは大変いいことだ。それにより全体の人件費が上がるということになり、下がり続けていた社員の処遇にブレーキがかかるからだ。
現実には初任給を10万円あげると、前年に入社した社員も10万円程度上げなければならない。また10年目や20年目の社員もそれなりに給与が増額することとなる。これは今までのステークホルダーに対する分配を変えるという観点では大きな意味がある。今までは配当や内部留保を重要視していた分配から、社員への分配が重要であるということが認識され、配分のバランスを変えたということである。業績があまり変わらない企業では労働への分配を増やす、労働分配率が上昇したということだ。株主重視経営に傾斜していた経営判断が大きく変わりつつある前兆だと考えられる。適正な配分とは何かという議論が進行しているということだろう。
初任給を大幅にあげる企業
今回のこの初任給の大幅増額を実施した企業は、2つのパターンがある。
1つ目のパターンは、より優秀な人材を獲得することを目的とした企業である。特に金融業界や情報産業業界が多い。これらの企業は今でも労働市場から見て安すぎる若年者への配分を是正し、若手社員の流出防止とともに優秀な中途採用社員の獲得を目指している。すでに技術変化が激しく、またそれによりビジネスモデルを大きく変える会社では、年功序列などという概念はなく、成果をあげられる社員を年齢に関係なく採用することが必要だからだ。
2つ目のパターンは労働新卒市場において何かしらの原因により人気がなかった企業だ。かつて不祥事を起こした企業やブラックとは言わないまでもグレーと思われている企業などは新卒市場で目立つために30万超える初任給を設定している。全く人が来なかった企業の逆転ホームラン的な発想だ。企業体質が変わらない限り、初任給は高くとも今までどうりグレーのままではではないだろうか。
初任給と生涯年収
もともと初任給は学校を卒業した後の最初の給与でしかない。1年経つと初任給は同じでも賞与によって全く年収が異なる。さらに年月を重ねていけば初任給がいかに生涯年収に関係無いからよくわかるだろう。今後、実力主義の社会になっていく中で初任給30万イコール生涯年収が高いとは限らない。その企業の想定している標準の生涯年収は高いかもしれないが、長期に雇用されないリスクや月給賞与が大幅に下がるリスクも同時にあることを理解しなければならない。
今までは長期雇用で定年までの生涯年収計算は比較的楽であった。成績が多少悪くともまた能力が多少低くても、年功序列によって自分が生涯いくらもらえるかが計算しやすいのだ。これは逆に成績が良い社員や能力が高い社員にとっては、その実力にあった生涯年収が支払われないということと同じだ。
今後はジョブ型制度、職種別複線型制度などが主流になっていると考えられる。実力に応じた処遇になる潮流は変わらないだろう。このような環境の中で初任給が30万を超えたというニュースやその情報をもとに就職活動をする学生、これで新卒採用が楽になると考えている企業、ロジカルに物を考えていないのではないかとすら感じる。
社員の処遇は高い方がいい。逆にこの30年間低すぎた。これに対する反省は初任給30万では到底許されるレベルでないは。年齢に関係ない年収となることであり、入社後5年目10年目での年収や離職率情報の方が本質を突いている。初任給30万などという情報は無価値と言わないまでも、間違えた認識を広めているともいえる。
*YouTube番組人事データ解説「初任給と生涯年収」を参考に執筆




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