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人材流動性のコントロール

  • 執筆者の写真: 林明文
    林明文
  • 5月20日
  • 読了時間: 4分

今後の人材流動性

 以前に比較して毎年転職者が増加しています。現在では会社都合退職者よりも自己都合で退職した人が自分のキャリアアップのために転職するというパターンが多くなってきました。若年層、特に40歳以下のビジネスマンは、大学を卒業後に入社した会社を数年で辞め、他社に転職するいわゆる第二新卒的な転職も多いです。また入社後後自分の職種の価値が上がってきた時期に、さらに待遇の良い会社へ転職するなども多く見られます。ある調査では社員の中で約4割の人が転職を考えているなど、以前に比べれば転職は個人にとって極めて壁が低くなったといえます。これは転職斡旋会社のテクノロジーが進んだことも大きな要因です。会社側から見るとせっかく一人前に育てた社員が、より処遇の高い会社へ気軽に転職してしまうことに対して大きな抵抗感はあるでしょう。転職斡旋業界は必要でない転職も進めてしまうことに責任を持たなければなりません。マッチポンプ的な状況になることは決していいことではありません。

 今後はこのような若年層の転職はさらに増加すると思われます。そして早期退職などで中高年のビジネスマンの転職も徐々に増えていくと思われます。この早期退職による定年は労働市場的には、大企業労働市場から中小企業労働市場への移動と見ることができます。中小企業は人手が足りなく、そのために大企業出身の中高年を採用するということです。全年齢で今後は転職が増えていくということです。


人手不足業界

 業界別に見ると人手が充分な業界もあれば、逆に全く足りない業界もあります。そして今後は新しい産業などが出てきた場合にさらに人手が不足することが予測されます。例えば介護業界は慢性的に人手不足です。そして今後の介護の需要は大幅に増えると予想されています。現在でもまったく足りないのにさらに需要が増えることに対応できるかが問題です。介護職については賃金が非常に低いのが致命的な人手不足の原因です。他にも建設業界も圧倒的な人手不足です。それから職種別に見れば大きく言えば理系人材、例えばシステム関連、AI、IoTなどの人材の需要は極めて強くありますが、日本国内で充分な供給をすることができません。日本の理工系学生比率は、わずか20%です。これを改善しない限り日本での供給は困難です。したがって短期的には外国人採用をせざるを得ません。

また国として重要な産業の人手不足が深刻です。特に第一次産業は壊滅的とも言えます。食料自給率がわずか40%弱でありさらにこれは速い速度で減少していくことになります。これでは有事の時など食料が圧倒的に不足することになります。このように人手不足の業界は多くあります。その中には介護や第一次産業など国のインフラとも言える業界が危機的であるということを忘れてはいけません。


人材流動性のコントロール

 日本国として見た場合に、介護や第一次産業などに従事する人が増えるのが望ましい姿と言えます。しかし何もしないで介護や第一次産業に人は増えないでしょう。外国人採用に頼っているのが現状です。40歳ぐらいまでの転職については特に国としてコントロールする必要性は全くないと思います。しかし45歳以上の中高年については、例えば介護や農業への転職を勧めることも必要になるでしょう。中高年でも比較的転職しやすい業界だと言うことです。中高年の徹底した活用という観点では、介護農業への転職は国にとっても望ましいです。

 もっと言えば早期退職を行う際に他社への転職、介護や農業への転職を必ず選択肢として入れなければいけない程度の規制も必要かもしれません。また介護や農業に新たに転職した人に対しては、さまざまな優遇措置を取るなども並行して行うべきでしょう。また現在の法律を考えなければ、一定以上の規模の会社で必ず再配置先として自社が保有する土地などで農業を行わなければならないなどの大胆な策も考えられます。

 いずれにしても個人の幸せという観点で自由に転職をすることはベースに置きながらも、国としての最適配置も考えなければならないということです。特に中高年活用という観点でこの議論は深めていかなければならないのではないでしょうか。



YouTube番組 Dig Deep人事「再生への人事のマスタープラン1~3」を参考に執筆

 
 
 

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